大学院新専攻長インタビュー
創成シミュレーション工学専攻 専攻長 杉山勝 教授
今年度から名古屋工業大学大学院に2つの専攻が新設された。6月号「未来材料創成工学専攻」に引き続き、今回はもう1つの新設専攻である創成シミュレーション工学専攻の専攻長、杉山勝教授にその特色と今後の展望を伺う。
■新専攻設立のきっかけ
現代社会には環境問題に代表されるような、多くの要素が複雑に絡む問題が溢れている。工業技術者としてこれらの問題を解決するためには、関連する多くの分野が集まり学際的に取り組んでいく必要があり、学生への教育もそれに合わせていかねばならない。そのためには様々な分野が結びつく横断的な組織が必要だ。また、コンピュータ技術の向上により、今や単なる道具の域を越えて創造的な作業を行うために欠かせないものとしてコンピュータを用いるようになった。例えば、実際の実験が難しい極限条件下でのシミュレーションが可能となり、解析や設計の低コスト化、高機能化が容易になった。とはいえ、当然ながらコンピュータは万能ではなく、その適用条件などの理論的裏付けと実物を対象とした実験、そしてコンピュータを適切に組み合わせることができる技術者の育成が必要だ。
そこで、コンピュータシミュレーションを共通手法として様々な分野が集まり、異分野融合による新しい研究分野を創成、コンピュータの高度活用による産業の拡大発展を目指す人材を育成するためにこの専攻が設立された。
■この専攻の特色
様々な分野から第一線で活躍する研究室が集まった学際的な組織である事が特徴だ。学生は今まで通り一人の先生の下に所属することになるが、担当の先生以外の様々な分野の先生からも学べるカリキュラムになっている。今までは自分の研究分野以外はよく見えず狭い視点になりがちだったが、ここではより幅広い視点で学ぶことができる。
■今後の展望
まずは異分野との交流を深めることで、今までに無かった展望を切り開きたい。各分野において特有の手法が存在するが、それらの中には実は共通する考え方が含まれていることが多く、全然違う分野同士の研究でも発想が似ていることがよくある。実際、異なる分野の学生に講義を行うと自分の分野の内容をその学生の分野の考えで解釈してくれて、その内容が新鮮で驚かされる。このように我々も学生から学ぶことが多い。コンピュータを用いて、新しい工学知の地平を切り開ければ面白い。
■最後に学生に一言
自分を小さく限定しないでほしい。工学だけでなく広い視点で学ぶ姿勢が、研究はもちろん今後の人生においても重要な意味を持つ。様々な分野から先生や学生が集まっているので、いろんな分野の人と積極的に交流してほしい。人生いつ何が役に立つかわからないもので、自分の専門分野に軸を置きつつも視野を広く持って学ぶことが大切だ。学生の若い発想で新しい考えを出して、私たちを驚かせてほしい。