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‘連載:読書マラソン’ カテゴリーのアーカイブ

名工大新聞版読書マラソン『カラフル』森絵都(文春文庫)

「おめでとうございます、抽選に当たりました!」
 死んだはずの僕の魂に、いきなり天使が現れそう言った。
 大罪を犯した魂は輪廻のサイクルから外れるのだが、ぼくは抽選に当たり再挑戦のチャンスを得た。ただし条件として、小林真という自殺した少年の体に「ホームステイ」し、生前の罪を思い出さなければならないらしい。
 ホームステイ先の環境はぼくが生前に犯した罪の大きさに比例するらしいのだが、温かい家族に迎えられ、ぼくは大した罪を犯していないのではないかと思った。けれど、ホームステイの案内人である天使プラプラから家族の実情を知り、それは大きな間違いだということに気づいた。ぼくは生前の自分を呪ったが、生まれ変わるにもやる気が無かったため、結局だらだらと過ごしていた。
 それからしばらく真として過ごしているうちに、真の自殺の原因がわかった。家族の裏の顔を知るのと同時期に、様々な運の悪さが重なったのだった。けれど、真は大きな、たくさんの勘違いをしていた。それを真に伝えてやりたかった。真はすでに死んでいるのに。ぼくもいつかはこの体から離れるというのに。

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strong>名工大新聞版読書マラソン『ぼんくら』(上・下)宮部みゆき(講談社文庫)
物語は江戸の長屋で起きた人殺しから始まる。この事件を機に、長屋の主となる差配人が姿を消し、その後も長屋の住民である店子(たなこ)が次々といなくなってしまう。この奇妙な事件に立ち向かう冴えない同心井筒平四郎が事件の解決へと進む。
話が進むにつれて明らかになる因縁の関係に加え、平凡な平四郎と個性溢れる何十人もの人物が、全体を通してインパクトを与え飽きを来させない。梅雨入りとなり室内にこもりがちなこの時期に、風情あるミステリーの世界を堪能してみてはいかがだろうか。

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名工大新聞版読書マラソン『もういちど宙へ』 岩貞るみこ(講談社)
沖縄美ら海水族館とブリヂストン。
この二つの単語を並べると、一見何の関係もないように思うだろう。
ここにイルカと付け加れば、大まかにではあるがこの本の内容を説明したことになる。
タイヤメーカーであるブリヂストンが、イルカの人工尾びれを作る。
なぜか。
それは誰も作ったことがないからだ。
ゼロからの挑戦。
それがものづくりの醍醐味というもの。
工学部にきたあなたは何を作りたいですか?

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読書マラソン ちいさな幸福〈All Small Things〉角田光代(講談社文庫)
想像してみてください。あなたは10円玉を拾いました。どう感じますか?
ラッキーと感じるでしょうか。それとも、なんだ10円玉かと思うでしょうか。
では奇跡と感じることは?
ほとんどの人が、10円玉を拾ったとしても奇跡とは感じないでしょう。
ですがそれは、あなたの財布の中にお金が入っているからです。もしあなたがお金を持っておらず、携帯電話も充電が切れていたら、その10円玉の重みは随分違うはずです。それは恋でも同じこと。
恋に関するエピソードは人それぞれです。他人にとっては何でもないことでも、自分にとっては奇跡なこともあります。
「10円玉を拾っても奇跡と感じられるような日常」を見つけたいあなたに、この本との出会いという奇跡を贈ります。

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読書マラソン(10)

読書マラソン(10) 『僕と先輩のマジカル・ライフ』はやみね かおる(角川文庫)
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下宿をして大学に通う新入生にとって、下宿探しは大事なことである。何といっても下宿は大学生活の拠点となる場所だ。快適な生活を送れる物件を選びたいものである。選べるものならば。
選ぶ余裕を持っていなかった学生―井上快人は、一番家賃が低いということから今川寮に入った。そして寮で知り合った先輩に、幼馴染で霊能力者の川村春奈と一緒に「あやかし研究会」に入会させられてしまう。快人は数々の不思議な現象に出会うが…。
新しい生活の始まりの高揚感、戸惑い。快人と一緒にもう一度味わってみませんか。そしてあなた自身のマジカル・ライフを見つけませんか。

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読書マラソン(9)

読書マラソン(9) 『きまぐれロボット』星 新一(角川文庫)
ロボット”と聞くと、あなたはどのようなものを思い浮かべるだろうか?
名工大でそう訊ねたら、実に専門的な答えが返ってくると思う。レスキューロボットや、軍事用ロボット、調理ロボットなど実用的なロボットがいくつも開発されているからだ。ただ、おそらくあなたが想像したようなロボットは本作品には登場しない。登場するのは、“きまぐれロボット”。使用者の期待する要求も効果も関係なしで動くロボット達である。
一見ありがちなようで、斬新なロボットストーリーがここにあります。ショート・ショートの元祖、星新一の描くロボット。こんな発明はいかがですか?

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読書マラソン(6)

「どきどきフェノメノン」森博嗣(角川文庫)
どうやら私は変わっているらしい。中学、高校と周りの人たちからそう言われ続けたので変わった人なのだろう。さかのぼるとどうやら、保育園の入園面接でも『変わったお子さんですね』と言われたそうだから自分でも驚きだ。しかしながら、大学に入ってから自分が変わっていると意識することがあまりないのはこれいかに。
本作品の主人公、窪居佳那(現在大学院博士課程1年)は筋金入りの変わった人である。ここでは詳しく書けないが、変わっている。その上、彼女の周りの人間たちも負けず劣らず変わっている。残念なことに、それについても詳しくは書けないが、研究室の後輩や、佳那の父親の友人はその中でも特に変わっていると思う。
筋金入りの変わり者で恋する乙女(!)の窪居佳那と、その友人・知人たちが繰り広げる、非凡な日常のような平凡な日常、もしくは平凡な日常なようで非凡な日常を綴った長編コメディ。貴方の周りにも、こんな人たちいませんか?

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『ギャシュリークラムのちびっ子たち -または遠出のあとで-』エドワード ゴーリー(河出書房新社)

率直に言います。この本を、貴方のお友達に薦めないでください。
この本には、26人の子どもが登場します。でも、貴方のお友達-たとえ子どもが好きでも-に薦めないでください。
26人の子どもがいれば、26通りの人生があります。幼い子どもの希望に満ち溢れた人生が。
しかし、ここにはそんなものありません。
26人の子どもたちは、それぞれ違った、26通りの方法で人生を終えていきます。
これら-たった2行の韻を踏んだ文章-から、貴方は何を感じ取りますか?
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『まったき動物園』エドワード ゴーリー(河出書房新社)

まったき【全き】:文語形容詞「まったし」の連体形から。完全で欠けたところのないこと。(大辞林より)
『完全無欠な動物園』だとタイトルにはあるが、この動物園が、完全無欠かと問われると、首を傾げるしかない。正直に言って、形容し難い生物ばかりなのだ。巨大なゲジゲジの様な生物、パーツの大きさがあまりにもアンバランスな生物、耳が大きすぎてうなだれているように見える生物。人によっては『気色悪い』とすら感じるだろう。しかし、見様によっては結構ユーモラスに見えないこともない。あくまで見様によっては、であるが。
26匹の架空生物の特徴を、7・5調で語るこの『完全無欠』アルファベット絵本、一見の価値ありです。
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『雑多なアルファベット』エドワード ゴーリー(河出書房新社)

ゴーリーの作品の中では珍しい、名詞を対象としたアルファベット。
教訓調の文章でありながら、その内容は教訓であったりなかったり。統一されていない文章が並ぶ。
Don’t leave the shore Without an Oar. :櫂もなしで 岸離れるな
は分かるとしても
Pick up loose Crumbs Upon your thumbs. :パン屑拾うなら 親指で
とくると、何が言いたいのかよく分からない。
唯一ともいえる共通点は、英文が全て韻を踏んでいること。内容は不可思議であるが、文章は美しい。難関な単語は出てこないので、ぜひとも英文を声に出して読んでみたい。

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