Feeds:
投稿
コメント

Archive for the ‘連載:読書マラソン’ Category

将来の夢を決められない人、決めたくない人のために書いたという作者の言葉が気になって手に取った一冊はとても不思議なタイトルだった。
「鍵のない夢を見る」
夢は将来のイメージのことだろうか、眠りながら体感するものだろうか。鍵がないならそこに通じる、もしくはそこから脱出する鍵穴付きの扉でもあるのだろうか。いつ、どこから見ているのか。そんなことを想いながら開いた中には5つの短編小説が織り込まれていた。どれもこれも犯罪にかかわる話ではあるけれど、ミステリーとは言い難い。主人公は大なり小なりの犯罪に何らかの形で関わっていて、しかし、欠片も人格者然としてはいなくて恥ずかしいくらい人間らしい。疑ってみたり、体裁を気にしてみたり、やけになってみたり、憧れてみたり、愛してみたり――。物語に登場する彼女たちは私たちと同じように単純ならざる感情を抱いて、整合性取れない行動をする。それ故に物語は犯罪という現実離れした題材でありながらも読者に寄り添うように進んでくれていると感じる。
将来の夢を決められない人、決めたくない人のために書いたと作者は語った。そのメッセージはきっと本の中にたくさんちりばめられている。ぜひ一読して作者の心を受け取ってみてはいかがだろう。

Read Full Post »

「大人の名古屋」はこだわりや上質さが詰まった大人のための余暇情報誌。第23回は「大人の名古屋」初の建築特集号だ。本学建築・デザイン工学科の伊藤孝紀准教授が監修を務め、「名古屋建築探訪」と題打って名古屋圏の代表的な建築物たちの魅力に迫る。名駅、栄、鶴舞と私たちに馴染みある土地が取り上げられ、名古屋市役所本庁舎のように歴史深いものからミッドランドのような現代建築、さらにはリニア開通を見据えた都市開発まで、昔・今・未来の名古屋建築を街との関係性や建築家・土地の歴史などと併せて専門的視点で読みといていく。私たちが何気なく通っている鶴舞公園にも、近代建築の変遷を映した歴史的建築物が集まっている。私たちの日常のなかに溶け込みすぎて、知らなかったもしくは気に止めて来なかった建築物たちの歴史と美しさをダイナミックに撮られた写真が伝えてくれている。写真を見るだけでも楽しめるだろう。再発見!という題通り、街を見る視点を変えてくれる一冊だ。

Read Full Post »

将来に対する漠然とした不安は誰もが感じるものだと思います。この本では周囲からの期待に応えようと頑張りすぎてしまった結果、その期待に押しつぶされてしまった少年が主人公となっています。そんな主人公ハンスは、「自分の生き方」と言うものに疑問を持っていました。自分が本当は何がしたいのか、それすらも分からず自分の欲望を押し殺し続け心身ともに疲弊していきます。題名にある「車輪」は、主人公の少年を押しつぶす不安の比喩なのかもしれません。この本を読むことで自分が不安なことを誰かに相談してみたり、見つめ直したりするきっかけが出来ると思います。もしかしたら、自分自身が知らず知らずのうちに不安をため込んでしまっているかもしれませんね。ぜひ、読んでみてください。

Read Full Post »

今回紹介する「夜のピクニック」は名工大の図書館の蔵書にある。主人公は北高に通う西脇融と甲田貴子の二人。彼らの通う高校には修学旅行がないかわりに北高鍛錬歩行祭という行事がある。学校から出発して遥かな道のりを一夜を通して歩き続けるのだ。これはそんな歩行祭の最中に行われるちょっとした賭けの物語。長い長い喧嘩が終わる物語。あるいは新しい関係の始まる物語。
この小説は一風変わっている。夜通し行われる歩行祭という行事も、登場しないキーパーソンの存在も、恋仲を噂される西脇融と甲田貴子の関係も。しかし、その風変わりな状況とは裏腹に、題名と文体が一致していて心地よい。この小説は主人公視点に寄った文体の中でピクニックというにふさわしい穏やかさと時折現れる疲れ、それに夜に伴う静けさを連想させてくれる。そして、ピクニックの最中には彼らの歩調と同様に文章のテンポも変化する。歩行祭故に、走って息が切れてしまうことはない。明確な障害物に歩を止めることもない。小さな坂に歩が遅くなろうとも、彼らは少しずつ着実に進んでいく。
そんな雰囲気に包まれながら、二人の歩む行く末を見守ってみてはいかがだろう。新しい何かが見つかるかもしれない。

Read Full Post »

元OL吉田幸子が営業の仕事で鍛えた話術を活かし、ルイーズ吉田という名前の占い師に転身。ショッピングセンターの片隅のルイーズのもとへ悩みを抱える人が足を運びます。父と母のどちらを選ぶべきかという小学生や、ある人の気を引くため占いが何度外れても訪れる女子高生、物事の終わりが見えてしまうという大学生。またかつてない強運の持ち主とも出会います。
「占いとは悩みを抱える人が一歩前へ足を進められるように、ちょっと背中を押してあげること」ルイーズはこの思いを胸に、優しく答えを導き、少しずつ成長していきます。日々の生活をじんわりと温かい気持ちにしてくれる一冊です。

Read Full Post »

「微分積分」という文字を見ただけでもう嫌になってしまう人、いると思います。微分積分って何をしているのか、そもそもそんなことをして何がしたいのか、教科書を開くと公式ばっかり……。この本では、かわいらしいキャラクターが登場し微分積分について数学とは全く関係のない観点から説明してくれるのが特徴です。冒頭は傾きについて書かれているのですが、いきなり数学とは関係のないカラオケの話から入ります。また、極限については、お酒や残業の話になります。その他にもいろいろあり、とても上手に説明されています。微分積分には公式がたくさんありますが、この本では実際に公式を導きます。丸覚えだとどんどん忘れてしまう公式も、本質的な意味を理解することで、必要な時に導くことが出来るようになります。公式は覚えるものではなく、作るものなのです。
微分積分の範囲としては、高校の基礎レベルです。今からでも遅くはありません。この本を手に取って、微分積分の本質を楽しみながら堪能してみませんか。

Read Full Post »

1973年、大阪である事件が起きた。建設が中止されたビルで死体が発見される。被害者は近くの質屋の主人だった。何人もの容疑者が浮かぶが、決定的な証拠が見つからずその事件は迷宮入りしてしまう。しかし、刑事の笹垣には、いくつか腑に落ちない点があった。見つからない凶器、緩められたベルト、殺人現場…。その後、容疑者の一人であった西本文代が死体で発見される。笹垣は、これらの事件の調査を続ける。
被害者の息子・桐原亮司と容疑者の娘・西本雪穂は、共に、幼くして親を失うという境遇でそれぞれの人生を歩み始める。しかし、その二人の周りでは不可解な事件が次々と起こる。だが、証拠は見つからない。そして19年が経ち……。
話が進むにつれて明らかになっていく真実。雪穂の過去、亮司と雪穂の関係、質屋殺しの真相、その後の不可解な事件の数々……。
この本を読み終えた後、ふと題名を思い出してほしい。そう、『白夜行』。なるほど、そういうことか……。
あなたもぜひ、東野圭吾のミステリー世界に浸ってみてはどうだろうか。

Read Full Post »

Older Posts »

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。