徳田・李研 KDDI研究所と携帯電話用音声合成ソフトを共同開発
徳田恵一教授(創成シミュレーション工学専攻)とKDDI研究所が共同研究を行い、携帯電話用音声合成ソフトを開発した。今回試作されたソフトにはHMM音声合成という、人間のように対話する機械を目指している徳田教授が長年研究を続けてきた技術が応用されている。
HMM音声合成とは、音声波形データを解析してその人の声のモデルを作成し、そこから合成する事で音声を作る方法。従来の音声データベースから音が自然に聞こえるように、つながる箇所を上手く組み合わせる方法に比べ、データベースサイズの大幅な縮小が可能となった。個人の声の特徴や怒りなどの感情に似せた音声を作ることも可能だ。また、この方法は言語依存性が少ないため様々な言語に応用が可能である。
徳田研究室では、この技術の学術用のソフトフェアをインターネットにて公開しており、すでに20ヶ国語以上で開発が進められている。国内外を問わず高い評価を受けており、マイクロソフトやIBMといった大企業からのコンタクトや、ベンチャー企業が利用している例があるという。
今回はPCに比べてハードフェアの制約が厳しい携帯電話で動作するように、必要なデータベースサイズや計算量を少なくした。これにより、好きな声を選んでダウンロードし、メールやブログを読み上げることや、小説を登場人物ごとに別の声で読み上げることが可能となる。
「ソフトフェアは公開しているので誰でも触れるが、使いこなす技術を持つ人間が求められている。今回も技術の元となる原理を理解しているから、重要な部分と簡略化して良い部分が分かっており、実際に作ることが出来た」と語る徳田教授。新しい携帯電話の使い方が実現する日も遠くない。