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 学生フォーミュラ大会とはフォーミュラタイプの自動車を設計・製作し、性能や企画力などを競う大会である。理科離れの進む若者に「モノづくり」の機会を与えるもので1981年にアメリカで始まった。この大会が日本に渡ってきたのは2003年で公益社団法人自動車技術会が主催している。そもそもフォーミュラカーとは車輪とドライバーがむき出しになっているレーシングカーのことである。評価基準は大きく分けて3つあり、1つ目は「車検」でブレーキや騒音等の安全性に関わる部分、2つ目は「静的審査」でコストやデザインのように走っていないときに関する部分、最後は「動的審査」という加速性能、耐久性などの走行中の性能に関する項目である。

 今回名古屋工業大学ものづくりテクノセンター付属フォーミュラプロジェクトは2003年の初回大会から参加しているが2019年に初めて総合優勝した。静的審査は2018年に劣るが、動的審査において素晴らしい成績を残したためこのような結果を収めることができた。

 名古屋工業大学フォーミュラプロジェクトの主な活動内容としては「フォーミュラカーの設計・製作」「ドライバーの育成」「渉外活動」「マネジメント」がある。1つ目はその名の通り自動車を作ることだ。2つ目は車両性能を十分に発揮できるドライバーを育成すること、3つ目はスポンサーを見つけることである。自動車を製作しようと思うと多額の資金が必要になる。4つ目はスケジュールの調整である。今回は3つ目の渉外活動に注目する。新たなスポンサーとして南久惠さんが加わった。南さんは主にポロシャツのデザインを行った。17年間デザインを変えずに使用してきたポロシャツは白ベースのシンプルなものであったが今回グレーベースのおしゃれなものに一新された。また南さんのアドバイスにより車体の色も、青からポロシャツの色に合わせた鉄素材のままの色に変更された。 

 南さんはいままで企業との仕事を経験してきたため学生との打ち合わせに戸惑うことも多かったという。学生はファッションへのこだわりがあまりなく、着たいポロシャツの明確なイメージを持っていないことが大きな課題だった。南さんは当初の予定よりは時間と労力がかかったが新しいポロシャツで学生のモチベーションが上がり、今回の初優勝を支援することができ良かったと語ってくれた。

フォーミュラカーに試乗するデザイナーの南久惠さん。横にいるメンバーが着ているポロシャツは南さんが2019年大会に向けてデザインしたもの。第46回東京モーターショー2019会場にて。

2018年までのフォーミュラカーとポロシャツ旧デザイン。

 茶道を通じて、親睦を図ることを目的に、2019年8月に「名古屋工業大学茶道同好会」が創立されました。名古屋工業大学は歴史ある大学ですが、男子学生が多かったため、いままで茶道部が存在しませんでした。茶道はいくつか流派がありますが、こちらは表千家の同好会になります。設立発起人は、表千家教授でもある南久惠さんです。

    活動は、週に一回、茶道のお点前や礼儀作法などを実践しながら、和菓子とお抹茶をいただいて、楽しく交流しています。留学生には日本文化を紹介することも行っています。

    名工大キャンパスにある「一本松古墳」から命名した「一本松茶道会」の名称で、茶会も企画しています。イベントも何度か行っており、2019年9月には富士河口湖畔で茶道研修、同年11月には「一本松古墳献茶式」を執り行いました。

    2020年からは、コロナ禍でなかなか人が集まるイベントの開催も難しくなってしまいました。しかし、そんな中でも、2021年12月に鶴舞公園が主催した「歴史たてものガイドツアー」の鶴々亭お茶席体験を担当された「茶の湯を学ぶ会(表千家)」に、名工大茶道同好会の有志も参加することができました。

    飲食を伴わない「茶道を学ぶセミナー」も行っています。大学院生、学部生、留学生、男子学生、女子学生を問わず、メンバーを募集しています。

    お問い合わせは Twitter @nitech_sado から気軽にご連絡ください。

名古屋工業大学茶道同好会 Nagoya Institute of Technology 一本松茶道会さん(@nitech_sado)

茶室見学のために開放された鶴舞公園内の「百華庵」
茶席体験が催された鶴舞公園内の「鶴々亭」


生命・応用科学専攻橋本研究室の岩屋遼さんがTongali(トンガリ)ビジネスプランコンテ
ストで最優秀賞を受賞した。
このコンテストは東海地区と大阪の大学生、大学院生、ポストドクターを対象とし、自分
の研究をビジネスに応用する方法をプレゼンするものである。大会の形式としては7 分間
発表した後に、5 分間の質疑応答が行われる。参加者はベンチャー企業の社長兼学生などの
社会人学生も多い。岩屋さんは技術をみんなに知ってもらいたいという思いからコンテス
トへの参加を決めたという。
ところで皆さんは「こんにゃく石」というものをご存知だろうか。これは天然に存在して
いて石英のような硬い素材でできているにもかかわらず、手で持って揺らすなどの振動を
与えると「くにゃくにゃ」曲がる不思議な石である。この現象の秘密は構造にある。石英の
塊がジグソーパズルのようになっていて間にできた隙間が振動を吸収してくれるのである。
この「こんにゃく石」の構造を取り入れ、応用したアイデアが今回の受賞につながった。
岩屋さんの本来の研究は構造を設計、成形、加工することである。そこで「こんにゃく石」
の特性であるジグソーパズル構造を設計にくみこみ、地震対策に役立てることはできない
かと考えた。地震対策には免震、制震、耐震のような種類がある。免震は地盤と建物の接地
している部分に免振装置を設置し、地盤から建物に伝わってくる揺れを免れるもの、制震は
建物の内部に制震装置を設置して揺れを吸収・制御をするもの(高層ビルで上の階ほど揺れ
が大きくなる現象を抑える)、耐震は建物の構造を強化することで揺れに耐えるものである。
コンテストのプレゼンではこの中で免震を取り上げた。免震はコストがかかり、工事も複雑
になるためあまり行われないことが多いが、地震対策としては有効なものである。今回受賞
した技術は免震工事を安価で簡単にすることができる。岩屋さんはアイデアを発表する人
が多い中で実際の技術を紹介できたことが受賞のポイントではないかと語ってくれた。

長らくホームページの更新が遅れていましたが、

平成も終わりますので心機一転、新元号と共に頑張っていきます!!

これから様々な情報を更新していくのでよろしくお願いします。

左からトッサヴァイネンさん、大囿准教授、白松助教

2014年3月、新谷虎松教授、大囿忠親准教授、白松俊助教らの研究グループ(情報)がLinked Open Data チャレンジ Japan 2013にて、データセット部門優秀賞を受賞した。Linked Open Data(以下、LOD)は、政府や民間団体が発信したオープンデータなどをwebの技術を用いてコンピュータが扱い易い形式へと変換し、インターネット上に公開し共有することで、情報をわかりやすい形で迅速に伝達することができる仕組みや新しいサービスを立ち上げていこうという試みである。LOD チャレンジ Japanは、アメリカやヨーロッパなど世界中のあらゆる分野で導入が進んでいるLODという仕組みを日本でも推進し、それにチャレンジした作品を募るコンテストだ。

日本でオープンデータというと、行政が公開しているオープンガバメントデータが挙げられる。オープンガバメントデータでは例えば、少子高齢化問題など行政だけでなく、専門家や市民が一丸となって解決する問題を扱っているが、行政がオープンガバメントデータを公開してもデータの利用の仕方が分からないといった問題が存在する。愛知県内でも積極的にLODに取り組んでいる自治体が存在し、住民に積極的に地方自治に参加してもらえるような仕掛けを行っている。

今回の「復興目標LOD」では、震災復興のための各目標に対して、目標間の関係や市民との関係などを整理し、LODとして提供するところがユニークであること、中でも目標を整理するためのデータモデルを作成することが重要であり、震災復興だけでなく社会問題など適用範囲が広いことが評価されての受賞となっている。受賞理由にもある通り、「復興目標LOD」は震災復興目標だけでなく他の問題解決のためのLODとして応用することが出来る。そこで、同研究グループでは現在トッサヴァイネンさん(情報工学専攻)が中心となって『ゴオルシェア』というwebアプリを開発している。多くの社会問題は利害関係が複雑に絡み合っていることが多く、解決のためには多くの人が集まった方がいい。しかし、多くの人が一同に会することは殆ど無い。その問題を解決するために誰がどの課題をどんな道筋で解決しようとしているかをLOD化して共有することで、問題意識の似た他者との協働・協力の可能性を検討しやすくなったり、有力者が何をしようとしているかなどの透明性を向上させたりすることも出来る。

白松助教は「同じ目的のデータモデルが乱立すると無駄な変換コストがかかるため、共通の規格を整備することが重要です。昔からやろうとしていることがようやく花開きつつある。オープンデータの規格で日本発のものを作りたい。現在研究で苦労している点はどうやってユーザを増やすかという点。イベントで実際に体験してもらって簡単だとわかってもらうのが大事。ユーザーに使ってもらうためには技術的な側面とフィールドワークの側面での開発が必要で、情報工学の人間としてフィールドワークにも力を入れていきたい。」と語る。

今回の受賞を受けて、白松助教は「みんなの役に立つことをしたいと思ったとき、気軽に参加出来るようにしたい。自分の気付かなかった場所に目を向けるきっかけになってくれたらいいなと思う。」また、大囿准教授は「僕たちが作ったものには無関心であった人をより社会に参加させる力があると考えている。より、人と人とが繋がることが出来るようになれば」と話してくれた。『ゴオルシェア』を開発しているトッサヴァイネンさんは「フィンランドではすでにオープンデータが盛んで、日本と国際コラボレーションできてうれしい。日本でもLODについて広めていけたら」と語った。

日本でオープンデータの流れが進みだしたのがちょうど去年頃であり最近の出来事であり、今後オープンデータは様々な問題を人々が協力して解決していくためのシステムとして期待される。データ間のリンクを作るという事は人と人とのリンクを作ること、オープンデータの目指すものは人と人とが繋がっていくことであると言えるのかもしれない。

錯体化学会賞を受賞した増田秀樹教授。

錯体化学会賞を受賞した増田秀樹教授。

本学の増田秀樹教授(生命・物質)の研究グループは、亜鉛イオンに活性酸素を無害化する効果があることを世界で初めて発見した。亜鉛イオンが無害化する活性酸素はスーパーオキサイド(以下、超酸化物)と呼ばれるもので、人間が呼吸で取り込む酸素のうち約2%がヘモグロビンから電子を奪って離脱することで生成される。超酸化物はイオンの電子配置が不安定であるため非常に危険な物質で、がんを誘発し老化を促進するとされている。そこで体内ではスーパーオキシドディスムターゼ(以下、SOD)という酵素で無害化を行っている。
SODには銅と亜鉛の原子が含まれており、今までは銅が超酸化物の無害化にかかわっていると予想されていたが、今回増田教授らは亜鉛に着目して研究を進めた。その結果、亜鉛イオンにも超酸化物の抗酸化作用があることが分かった。さらに、数種の試験用化合物のうち亜鉛と結合する余地のないもののほうが、抗酸化作用が大きいことから、抗酸化作用に亜鉛との結合は必要ないことまで導き出した。これは亜鉛イオンの陽イオン性が超酸化物の陰イオン性をひきつけ、ひきつけられた超酸化物のエネルギーが他の超酸化物より小さくなることから他の超酸化物から電子をもらうことにより酸素と過酸化水素に変化することによるものである。つまり、超酸化物どうしで反応しているのである。
SODは体内で処理できる超酸化物の許容量を超えた場合などに体外から摂取する必要があり、また、SODの保有量と寿命には相関関係があるとされている。そこで亜鉛は人体に無毒であり、効果のある構造まで分かっていることから今後はこれを使用した創薬やビタミン剤の研究がなされていくだろう。増田教授は「これから薬として使えるようにするのはどうしたらいいかを考えていきたい」と述べた。なお、このことについて書かれた亜鉛創薬の論文はアンゲヴァンテ・ケミーというインパクトファクター13以上の論文誌に掲載され、さらには、表紙にも採用されている。
また、増田教授はこの秋、錯体化学会賞を受賞している。錯体化学会賞とは錯体化学会会員の中から、特に業績が優れ、錯体化学の発展に寄与したと認められる研究者に贈呈される栄誉ある賞である。増田教授は生体系の分野を取り入れ、さらに錯体化学を他分野まで応用させるなど先導的研究を行ったことなどが評価され受賞に至った。今回の受賞について増田教授は「名工大で今回の賞を受賞したことは大変意義のあるものである。普段は他大学と比べがちだが今回受賞できたのはグループの力でもあり、我が国でのその高い位置づけを示すものであり、胸を張っていい」と語った。
現在、燃料電池が水素と酸素が反応して水を生成するクリーンなエネルギーであることは誰でも知っているが、実は同様の反応は人の細胞の中でも行われている。他にも、有用な化合物の工業的製造法は多々確立しているが、これら工業的製法は環境に大きな負担を強いている。しかし、これらと同様の反応を生物が行っているものもたくさんある。増田教授は「今すぐにとは言わないが、少しずつでも環境に負担をかけない、生物機能を摸倣した工業的製造法を確立させていくことが目標だ」と今後の方針について述べた。

見事個人3位に入賞した浅井雄貴さん。

見事個人3位に入賞した浅井雄貴さん。

航空部の浅井雄貴さん(都市社会3年)が第33回東海・関西学生グライダー競技会で個人3位に入賞した。この大会は2013年11月2日~10日にかけて木曽川で行われた。本大会ではスタート地点から2つの地点を経由してもとに戻るまでの時間を計り、その日の最短の記録が自分の記録となる。そして、その日の選手全体の最短記録を1000点として各選手の遅延分が1000点からひかれたポイントが得られる。これの測定を数日にわたって記録していき累計の点数が高い順に順位がつく。表彰は個人と団体の2つで行われるが、上位7位までの団体が全国大会へ出場できる。浅井さんは個人で3位に入賞し、団体で5位という結果で全国大会への切符を手にした。
この大会に向けて浅井さんは普段の練習をコツコツと積み上げてきた。練習としては月に1度合宿を行っており、上昇気流を捕まえる練習などをしているそうだ。本大会について「個人で出場するよりもチームで出場したほうが有利な点が多い中、個人での出場ということ、また4年生が多く出場していることに対して不安を感じていたが、入賞できるように挑んだ。序盤は思うように得点を取ることができず焦っていたが、チャンスを逃さず挽回することができた」と語った。
全国大会は3月上旬に埼玉で行われる。全国大会について浅井さんは「普段と場所が異なるため不安なことは多いが、チャンスを見つけて頑張りたい」と語る。良い結果が聞けることを期待したい。

認知症の新診断法を提唱した加藤昇平准教授。

認知症の新診断法を提唱した加藤昇平准教授。

加藤昇平准教授(情報)の研究が研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)に採択された。A-STEPは、大学等で生まれた国民経済上重要な研究成果を実用化につなげるための国家の技術移転支援プログラム。実用化への実現度合いから、フィージビリティスタディステージ(ステージⅠ)、産学共同促進ステージ(ステージⅡ)、実用化挑戦ステージ(ステージⅢ)から構成されており、加藤准教授は書類審査、面接審査を経てステージⅡのハイリスク挑戦タイプに選ばれた。
加藤研究室では、「感性・知能ロボティクス」、「人工生命・人工社会」、「生体情報と音楽情報科学」の3分野を中心とした人工知能技術の研究を行っており、今回は、音声解析と生体情報の技術を医工連携研究へ応用した実践的プロジェクトである「非専門家でも短時間で実施できる『軽度認知症スクリーニングツール』の研究開発」という研究で採択された。この研究は人間の発話音声に含まれる韻律特徴(高低や強弱など)から認知症かどうかを判定するもので、話し相手の感情を理解し心を通じたコミュニケーションができるロボットの開発で培った技術を応用している。
認知症は早期発見が重要であるが、高齢者の中には病院での受診に抵抗を感じる人も多い。現在の診断では専門医と質疑応答する方法や脊髄に造影剤を注射し、脳の状態を検査する方法が用いられ、受診者の負担が大きい。しかし、新たな方法ではロボットや家族・知人との会話音声のみから判断できるため、専門医へ受診すべきかどうかを事前に手軽にチェックができる利点がある。実用化に向けては方法を模索している段階で、スマートフォン用アプリとして各端末に搭載する方法や高齢者介護施設等にロボットを設置する方法などが考えられている。
加藤准教授は「少子高齢化が進み介護や福祉がより重要な世の中になると考えられる中で、この研究は社会的に意義が高く、使命感がありやりがいを感じている。若者には将来を豊かにするためにもっと輝いてほしい」と話した。

精密工学会技術奨励賞を受賞したウキエツさん。

精密工学会技術奨励賞を受賞したウキエツさん。

梅崎研究室所属のウキエツさん(情報D2)が2013年度精密工学会技術奨励賞を受賞した。この賞は公益社団法人精密工学会より、精密工学分野において顕著な業績をあげた独創性・将来性のある新進気鋭の研究者・技術者に対して贈られる賞だ。毎年5人程が選出される。2013年9月13日に開催された精密工学会秋季大会において贈賞式が行われた。
ウキエツさんの研究テーマは「ワンショット位相シフトデジタルホログラフィを用いた小型三次元計測装置の開発」だ。レーザーの波長を利用した、ナノメートルオーダーの三次元形状計測法である。従来の方法は微弱な振動でも計測精度に影響するため、生産工程の中では使われていない。ウキエツさんはこれらの影響を受けずに済む高速ワンショット(1回撮影)法に注目し研究を行った。ワンショット三次元計測の方法は今までにも見出されていたが、高価な特殊フィルムを使用する必要があった。ウキエツさんらは一般的な小型フィルムを使って1枚の画像で処理する手法を開発した。
ウキエツさんらが開発した手法にはさまざまな可能性がある。レンズなどの透明な製品は、傷の有無や曲率が正しいかどうかを人の目で判断することは難しい。透明なものは従来の三次元計測での計測も困難であったが、今回開発した手法なら可能だ。また、細胞や菌の同定など、今まで顕微鏡で何時間もかけて検査していたものが一瞬で検査できる。将来的には、医療分析や医療機器の分野における応用にも期待される。
今回の受賞についてウキエツさんは「研究の成果が対外的に認められてよかった。研究指導していただいた先生には感謝の気持ちでいっぱいです」と話した。また今後については「三次元計測と三次元形状解析を含めたソフトウェアを作りたい。今回の研究が実際に商品として使えるところまで開発したい」と話した。

設立シンポジウム 講演の様子。

設立シンポジウム 講演の様子。

2013年12月26・27日、本学内にてオプトバイオテクノロジー研究センター(以下、センター)の設立シンポジウムが開催された。
この設立シンポジウムは、2013年8月のセンター設立を記念するとともに、センターの「光が関わる生命現象を工学として解析することにより、全く新しい産業の創出に貢献する」という目的を学内外に示すためのものである。2日間で学生や研究者、企業人など150人近くの参加者が集い、学内外の13人の研究者による「光」と「いのち」に関わる学術講演と、参加者との活発なディスカッションが行われた。
当センターは、本学のこれまでの「光といのち」研究の実績に基づき、光の本質や光が関わる生命現象についての基礎研究を伸ばし、生物の光エネルギー変換を解明することで将来の生命科学・材料科学に必須となる研究ツールや新材料を創製、医療分野への発展をも目指していく。センターにはセンター長である神取秀樹教授(生命・物質)をはじめとして、生命・物質工学科、電気電子工学科、機械工学科と広い分野の教員が所属しており、それぞれの教員が各々の「光」及び「いのち」に関わる研究を進めている。光を利用した生命現象の解析は脳研究への貢献などのために大きな注目を集めている学問分野だが、「光といのち」「オプトバイオテクノロジー(光生物工学)」といった単語の提示はセンター独自のものである。神取教授によると、これらのテーマに沿って研究を行っている研究者は国内外ともに少ないが、だからこそ大きな可能性を秘めており、様々な分野の連携が重要になるという。
設立シンポジウムでは、当センターに所属する本学の教員5人と、センターの活動に深く関わる研究を行っており今後連携を進めていく国内研究機関のうち、東京大学、京都大学、岡崎3研究所から招いた8人の研究者が講演を行った。内容は光センサータンパク質、光による生体組織の解析、光電変換や量子論など、広い意味での「光」と「いのち」に関する研究が取り上げられ、今後このセンターが据える切り口を示すものとなった。
設立シンポジウムを終えて、神取教授は「学内のそれぞれの分野に十分なポテンシャルを持っていることを確認できた。それらをうまく利用し連携して外へ発信していくという、センターが目指している方向の重要性を確信した」と語った。今後はセンターに所属する教員に留まらず学内・学外にも広がりを持たせ、異分野間でゆるやかに連携しながら、センターの活動をますます充実させていくという。センターは「『光といのち』研究の世界拠点の形成」も目指しており、来年度には国際シンポジウムも計画しているという。今後の進展が期待されるものである。