「計算機で飯を食う覚悟があるのか?」そう語る松尾先生は現実をまっすぐに見据え、しかし情熱や理想を追う姿勢も忘れない、そんな印象を受けた。柔和な笑顔を見せる津邑先生も松尾先生の言葉に深くうなずく。2人から感じたものは強い信頼関係に他ならないだろう。今回の『研究室の旅』は松尾・津邑研究室を紹介する。
並列・分散処理システム
同研究室では分散・並列処理システムを研究している。分散・並列処理システムとは複数のシステムや装置を協調させ、より高速に計算できるコンピュータを作り出す研究である。具体的にはプロセッサ(コンピュータ内でデータ処理をする計算装置)を複数個接続することや連結した複数のコンピュータの協調、さらにはネットワークを介して遠く離れたコンピュータ同士の連携をとることだ。松尾・津邑研ではそのシステムをソフトウェアだけでなくハードウェアの面からも研究している。
学生主体
今年の研究室では9月のゼミ旅行のほかに、10月にはボーリング大会を行うなど、学生同士の交流が多く行われた。これら研究室で行われるイベントは全て、学生主体で行われる。互いに意見を出し合うことで、より綿密なコミュニケーションの活性化が図られているのだ。そうした意思疎通の繰り返しがまた、互いの研究を助け合うベースとなる。そしてプレゼンテーションや論文発表が出来るだけの基礎体力をつけることにより、幅広い知識を豊富な経験で潤沢させる。その王道ともいえる着実なステップを歩んでいくことこそが、松尾・津邑両先生が望む『どんな社会でも最前線で戦える学生』の姿だ。
最後に一言
松尾・津邑両先生はとても困った様子を見せつつも、とても面白い返事をもらえた。
津邑「楽しさの中に厳しさがある。変わらず広く深くやっていけると良い」
松尾「研究というものは辛いけど、その中の楽しさを分かってほしい」
まるで相反するような二人の言葉に、松尾・津邑研究室という素晴らしさと本質を垣間見た。
「卒業して良かったと思える研究室になればいい」
最後に残してくれたこの言葉こそが学生にとって最もプライスレスな資本なのだろう。